2017年1月16日月曜日

Mary Stewart: THIS ROUGH MAGIC

【タイトル】
THIS ROUGH MAGIC

【出版社】
Oxford Bookworms Library

【レベル】
5

【感想】
 主人公は舞台女優を目指していたがスランプに陥り、姉のいる島へ休暇に来た女性。その島は、シェイクスピアのテンペストにも登場する神秘的な島で、主人公は毎日イルカと遊んでいました。ある日、姉の知り合いの男性が船から落下して事故死したという知らせが入るのですが、この事故を怪しむ人がいました。主人公の女性も事故の裏側を段々知らされ、真実を明るみにしようと奮闘します。怪しいことを見つけると、彼女は勇敢にもすぐにそこに足を踏み入れます。私なら、分かっていてもそんな行動が取れるだろうか、ドキドキに負けてできないのではないか、と思いました。彼女の正義感溢れる人柄にあこがれます。
 息が詰まるほどにドキドキさせられるサスペンスです。その中で、恋愛や家族愛、友情も切なく温かく描かれます。島の個性的な人びと、3年前に表舞台から姿を消した名男優、謎の写真家、ギリシャの神秘的な青年が交錯しながら、お互いの理解を深め、事件の解決とともにそれぞれが成長し、あるいは失った自信を取り戻します。読了後にすっきりとした気持ちを味わえました。


【印象的な英語表現】
・'Was it very bad?'
 'Worse than bad.'

男性の事故死を伝えにきた人に対し、主人公の女性が知らせの内容はどれほどのものかを、内容を聞く前に尋ねたところ、知らせにきた人が"Worse than bad"と述べて事態の深刻さを的確に伝えています。
  Badしか言えず、それ以上の幅を表現できないことによくもどかしさを覚えていた私は、Worse than bad.という、very badやreally badでは表せない深刻さを伝える表現に驚きました。


・I was using every bit of my acting experience now.I wondered if I should try a few tears, but decided on an anxious smile instead.

主人公が容疑者と接触し、自分の役者経験を生かして演技をすることで駆け引きをしている場面です。
Every bit of my acting experience というのは、ほんの少しずつであっても経験したことを生かし、なんとか事態を乗り切ろうとする主人公の懸命な姿が見て取れます。
嘘の涙を流そうか、ということをtry a few tearsと表現していることに驚きました。簡潔で面白い表現だと思いました。decided on an anxious smile instead とは、日本語にそのまま置き換えれば「代わりに不安な笑顔に(することに)決めた」となり、あまり日本語で言わない表現だと思います。主人公の行動や考えがすぐ伝わり、想像できる文だと思いました。


【投稿者】
coli
【ポイント数】

これまでのポイントは 10ポイント( 2017/01/16 )

0 件のコメント:

コメントを投稿